健康コラム/26「サウナミーティングの効果 その科学的な説明」(2020.2.10)
今回は「サウナミーティングの効果」と、その科学的な理由について書きます。
「さんぽミーティング」は今やメジャーな手法といっても過言ではないと思いますが、「サウナミーティング」も「サウナ入浴の科学的効果」を理解すれば、「これは効果絶大」と納得できます。
もちろん「ミーティング」だけではなく、ひとりでのサウナ入浴でも「名案を思いつく可能性」がとても大きいのです。
南麻布にあるフィンランド大使館には、なんと「サウナ」がそなえ付けられているそうです。 職員は週1回このサウナを利用するそう。
フィンランドは人口550万人に対して330万台のサウナがあるのだそうです(日テレ「所さんの目がテン」2020年1月)。「フィンランド人にとってはサウナが欠かせない」し、この「サウナ」という言葉もフィンランド語だそうです。
本場のサウナの入り方は、サウナで10分ほど 汗をかき、その後ぬるめのシャワーで汗を流すとともにヒートアップしすぎた体を一旦適度に クーリング、その後ビーチチェアのような寝そべれる椅子などでゆっくりとカラダを休める、ということを1時間くらいかけて数回繰り返すのが一般的だそうです。
テレビで大使館の実際のサウナの様子も見ましたが、フィンランドでは水風呂でカラダをクールダウンするということはしないようです。日本独特なのかもしれません。
フィンランドはすごく寒い国で日本の梅雨や真夏のような酷暑というのはまずないでしょうから、そんな冷たい水まで使って冷やす必要はなく、自然にクーリングするという方が昔から当たり前なのかもしれません。
1)自律神経の正常化にとても役に立つ
研究者によれば、サウナを利用してカラダを急速にヒートアップさせたりすぐにクーリングしたりすることによって、自律神経の働きを正常に戻す効果があるということが分かっているようです。
サウナがなぜ自律神経に効くのかというと、100°くらいの熱いサウナに入ると人の体は交感神経が優位になってアドレナリンやコルチゾールといったストレスホルモンが沢山出ます。
これは外から強い刺激が加わったことによって、昔から身体に備わっている本能的な防御反応によって起こるものです。
一気に交感神経を興奮させた後、涼しい場所に出て心地よい風と汗をかいた爽快な気分を味わいながらゆったりとリラックスして行くと、交感神経の興奮はおさまってきてリラックス時の状態の副交感神経が優位になってきます。
日本のようにもしここで水風呂に入ると、交感神経は別の意味でまた興奮します。当然アドレナリンも出るはずですし血圧も上がるはずです。
そしてこの後、綺麗な外の景色などを眺めながら、長いチェアにゆったりと体を横たえて何も考えずにぼーっとしていると、普段の日常ではなかなか経験しないほどのリラックス状態を作ることになるわけです。
こうすると副交感神経も日常生活ではなかなか緩まないレベルまで思う存分緩めることができます。体内では安心ホルモンセロトニンも出るはずです。
ここまでがワンセットです。
そしてまた次に熱いサウナに入って交感神経を高ぶらせるだけ高めて、またクールダウンするという作業をします。これを2・3回繰り返すと交感神経が一気に高ぶりそれから静かにクールダウンして副交感神経が優位になり、また交感神経を思い切り高めさせるというサイクルを作ることができます。
このようにスピーディーに自律神経を変化させなければならない状況をワザと作り、カラダに負担を課すことによって、普段乱れがちになっている交感神経と副交感神経のスイッチの切り替えをどんどん強いるのです。
このように負荷をかけることによって自律神経をしごき、トレーニングすることによってスイッチの切り替えがスムーズに行えるようになってくるのです。
この「自律神経の不調の修正は自分の意志でカンタンにすることができる」という情報は、非常に貴重な情報・知恵だと思います。なぜかというと、自分の意思で思い通りにできなくて勝手に変化してしまうから「自律」神経なのですから。
私は昼夜逆転の生活を2年ほど続けた時期に、「甲状腺ホルモン亢進症(こうしんしょう)ー甲状腺ホルモンがですぎて生活に支障が出る病気ー)」という病気を発症しました。これはまさに「自律神経の乱れ」が原因なのではないかと考えています。
じつは知り合いの奥さんも甲状腺ホルモンの病気をしたそうですが、その人はスナックをやっていて昼夜逆転の生活をしていたのです。ちなみに女性の場合は一般的にホルモンがでなくなる「甲状腺機能低下症」のほうが多いようです。
医学的に明確な原因はおそらく突き止められていないと思いますが、大抵こういう場合お医者さんは、「生活リズムの乱れからこうなったのでしょうね」という言い方をすることが多いようです。
これは言い換えれば「自律神経が乱れている」ということにほかなりません。
甲状腺機能異常の治療では、食事制限や肥満の改善、運動の多い少ないなどの指定・指導などは特になされません。発症原因が明確なら生活習慣指導もありそうなものですが・・・。
昼夜逆転の生活をながく続けている人や「時差ボケ」がつきまとう職業のかたは、気に留めておかれるといいと思います。
2)脳にすばらしい変化をもたらす
いよいよ本題です。
サウナミーティングで期待できる効果は・・・
①脳全体がリラックス状態にあるなかで、ある部位だけは非常にさえわたっていて「ひらめき」が湧きやすい。
②いわゆる「ハダカのつきあい」で、「きたんのない」やりとりがスムーズにできる。いちいち「目くじらをたてたり」、いちいち「すきあらば噛みつこう」という心理があまり働かない。
③食事や軽い飲酒などでリラックスして打ち解けることができ、いつも同僚に対して持っている固定概念を薄れさせたり、相手を見直したりするきっかけを持てたりもできる。
慶應義塾大学特任助教の加藤容崇(やすたか)氏が、20人を対象にサウナ入浴と脳波の調査をしたところ、「脳全体は非常にリラックスしている状態にあるなかで、ある部位だけは非常に活性が高まっていることがわかった」そうです。
サウナ入浴を1時間ほどすると浴室を出るころにはアタマがすっきりしていますが、ただ「スッキリしているだけ」ではなく、「さえわたっている」感覚も同時に感じます。
この時の脳の状態を調べたところ、全体にリラックスしていることを示す「アルファ波」が多く出ているなかで、頭頂部にある「触覚などを感知する部分」だけは「ベータ波」が出ていて、その部分だけは非常に活性化していることが確認されたそうです。
みなさんも経験したことがあると思いますが、入浴ですっきりしたあとにTシャツなどを着たとき、「皮膚が生地の感触を」とても強く感じとったりすることがあります。
またカラダの疲労も取れスッキリしたあとに食べ物や飲み物を口にすると、非常に味覚を「ハッキリと鋭敏に」感じ取り、いつもよりおいしく感じることがあります。
これが「脳がさえわたっている」ことの具体的な「あらわれ」なのです。
じつはIPS細胞ノーベル賞学者の山中伸弥京大教授も、研究中とても大きな難題で研究全体が頓挫(とんざ)してしまいそうになっていた時期、「自分を追い込んで考えることをいったん休憩しよう」と思いながら、
何も考えずアタマをリラックスさせて子供と一緒にお風呂に入っていた時、突然ふってわいたように「解決策がひらめいた」のだそうです。
3) まとめると
① 脳がリラックスしているのに感覚や思考に関係する「頭頂部だけは活性化」しているので、「ひらめき」や「アイディア」が浮かびやすい。
② はだかの付き合いで心理的抑圧から解放されているので、はなしが進みやすいしまとまりやすい。
③ 食事や軽い飲酒でさらにリラックスできるので、思い切った発言もしやすい。
④ 目新しいことではないが、血流がよくなり疲労回復やリンパの働きがよくなるので、疲労から解放されてイキイキとなり、各メンバーが本来の優秀さをいかんなく発揮できる身体的状態を引き出してあげることができる。
これだけの条件・効果が期待できる内容濃厚なミーティングは、普段はなかなか期待できないのではないでしょうか?きっとこれ以外にも特有の「いい効果」があるはずです。
まぁ肥満対策や内臓脂肪減少効果もあきらかに期待できると思いますが、今回は「ミーティング」の話しなので、これについてはまた別の機会にゆずります。
きっと楽しいミーティングになると思います。じょうずに取り入れてみてはいかがでしょう?
今日も最後までお読みいただきありがとうございました(^_-)-☆。
「さんぽミーティング」は今やメジャーな手法といっても過言ではないと思いますが、「サウナミーティング」も「サウナ入浴の科学的効果」を理解すれば、「これは効果絶大」と納得できます。
もちろん「ミーティング」だけではなく、ひとりでのサウナ入浴でも「名案を思いつく可能性」がとても大きいのです。
本場フィンランド人の入り方
南麻布にあるフィンランド大使館には、なんと「サウナ」がそなえ付けられているそうです。 職員は週1回このサウナを利用するそう。
フィンランドは人口550万人に対して330万台のサウナがあるのだそうです(日テレ「所さんの目がテン」2020年1月)。「フィンランド人にとってはサウナが欠かせない」し、この「サウナ」という言葉もフィンランド語だそうです。
本場のサウナの入り方は、サウナで10分ほど 汗をかき、その後ぬるめのシャワーで汗を流すとともにヒートアップしすぎた体を一旦適度に クーリング、その後ビーチチェアのような寝そべれる椅子などでゆっくりとカラダを休める、ということを1時間くらいかけて数回繰り返すのが一般的だそうです。
テレビで大使館の実際のサウナの様子も見ましたが、フィンランドでは水風呂でカラダをクールダウンするということはしないようです。日本独特なのかもしれません。
フィンランドはすごく寒い国で日本の梅雨や真夏のような酷暑というのはまずないでしょうから、そんな冷たい水まで使って冷やす必要はなく、自然にクーリングするという方が昔から当たり前なのかもしれません。
1)自律神経の正常化にとても役に立つ
研究者によれば、サウナを利用してカラダを急速にヒートアップさせたりすぐにクーリングしたりすることによって、自律神経の働きを正常に戻す効果があるということが分かっているようです。
サウナがなぜ自律神経に効くのかというと、100°くらいの熱いサウナに入ると人の体は交感神経が優位になってアドレナリンやコルチゾールといったストレスホルモンが沢山出ます。
これは外から強い刺激が加わったことによって、昔から身体に備わっている本能的な防御反応によって起こるものです。
一気に交感神経を興奮させた後、涼しい場所に出て心地よい風と汗をかいた爽快な気分を味わいながらゆったりとリラックスして行くと、交感神経の興奮はおさまってきてリラックス時の状態の副交感神経が優位になってきます。
日本のようにもしここで水風呂に入ると、交感神経は別の意味でまた興奮します。当然アドレナリンも出るはずですし血圧も上がるはずです。
そしてこの後、綺麗な外の景色などを眺めながら、長いチェアにゆったりと体を横たえて何も考えずにぼーっとしていると、普段の日常ではなかなか経験しないほどのリラックス状態を作ることになるわけです。
こうすると副交感神経も日常生活ではなかなか緩まないレベルまで思う存分緩めることができます。体内では安心ホルモンセロトニンも出るはずです。
ここまでがワンセットです。
そしてまた次に熱いサウナに入って交感神経を高ぶらせるだけ高めて、またクールダウンするという作業をします。これを2・3回繰り返すと交感神経が一気に高ぶりそれから静かにクールダウンして副交感神経が優位になり、また交感神経を思い切り高めさせるというサイクルを作ることができます。
このようにスピーディーに自律神経を変化させなければならない状況をワザと作り、カラダに負担を課すことによって、普段乱れがちになっている交感神経と副交感神経のスイッチの切り替えをどんどん強いるのです。
このように負荷をかけることによって自律神経をしごき、トレーニングすることによってスイッチの切り替えがスムーズに行えるようになってくるのです。
この「自律神経の不調の修正は自分の意志でカンタンにすることができる」という情報は、非常に貴重な情報・知恵だと思います。なぜかというと、自分の意思で思い通りにできなくて勝手に変化してしまうから「自律」神経なのですから。
私は昼夜逆転の生活を2年ほど続けた時期に、「甲状腺ホルモン亢進症(こうしんしょう)ー甲状腺ホルモンがですぎて生活に支障が出る病気ー)」という病気を発症しました。これはまさに「自律神経の乱れ」が原因なのではないかと考えています。
じつは知り合いの奥さんも甲状腺ホルモンの病気をしたそうですが、その人はスナックをやっていて昼夜逆転の生活をしていたのです。ちなみに女性の場合は一般的にホルモンがでなくなる「甲状腺機能低下症」のほうが多いようです。
医学的に明確な原因はおそらく突き止められていないと思いますが、大抵こういう場合お医者さんは、「生活リズムの乱れからこうなったのでしょうね」という言い方をすることが多いようです。
これは言い換えれば「自律神経が乱れている」ということにほかなりません。
甲状腺機能異常の治療では、食事制限や肥満の改善、運動の多い少ないなどの指定・指導などは特になされません。発症原因が明確なら生活習慣指導もありそうなものですが・・・。
昼夜逆転の生活をながく続けている人や「時差ボケ」がつきまとう職業のかたは、気に留めておかれるといいと思います。
2)脳にすばらしい変化をもたらす
いよいよ本題です。
サウナミーティングで期待できる効果は・・・
①脳全体がリラックス状態にあるなかで、ある部位だけは非常にさえわたっていて「ひらめき」が湧きやすい。
②いわゆる「ハダカのつきあい」で、「きたんのない」やりとりがスムーズにできる。いちいち「目くじらをたてたり」、いちいち「すきあらば噛みつこう」という心理があまり働かない。
③食事や軽い飲酒などでリラックスして打ち解けることができ、いつも同僚に対して持っている固定概念を薄れさせたり、相手を見直したりするきっかけを持てたりもできる。
慶應義塾大学特任助教の加藤容崇(やすたか)氏が、20人を対象にサウナ入浴と脳波の調査をしたところ、「脳全体は非常にリラックスしている状態にあるなかで、ある部位だけは非常に活性が高まっていることがわかった」そうです。
サウナ入浴を1時間ほどすると浴室を出るころにはアタマがすっきりしていますが、ただ「スッキリしているだけ」ではなく、「さえわたっている」感覚も同時に感じます。
この時の脳の状態を調べたところ、全体にリラックスしていることを示す「アルファ波」が多く出ているなかで、頭頂部にある「触覚などを感知する部分」だけは「ベータ波」が出ていて、その部分だけは非常に活性化していることが確認されたそうです。
みなさんも経験したことがあると思いますが、入浴ですっきりしたあとにTシャツなどを着たとき、「皮膚が生地の感触を」とても強く感じとったりすることがあります。
またカラダの疲労も取れスッキリしたあとに食べ物や飲み物を口にすると、非常に味覚を「ハッキリと鋭敏に」感じ取り、いつもよりおいしく感じることがあります。
これが「脳がさえわたっている」ことの具体的な「あらわれ」なのです。
じつはIPS細胞ノーベル賞学者の山中伸弥京大教授も、研究中とても大きな難題で研究全体が頓挫(とんざ)してしまいそうになっていた時期、「自分を追い込んで考えることをいったん休憩しよう」と思いながら、
何も考えずアタマをリラックスさせて子供と一緒にお風呂に入っていた時、突然ふってわいたように「解決策がひらめいた」のだそうです。
3) まとめると
① 脳がリラックスしているのに感覚や思考に関係する「頭頂部だけは活性化」しているので、「ひらめき」や「アイディア」が浮かびやすい。
② はだかの付き合いで心理的抑圧から解放されているので、はなしが進みやすいしまとまりやすい。
③ 食事や軽い飲酒でさらにリラックスできるので、思い切った発言もしやすい。
④ 目新しいことではないが、血流がよくなり疲労回復やリンパの働きがよくなるので、疲労から解放されてイキイキとなり、各メンバーが本来の優秀さをいかんなく発揮できる身体的状態を引き出してあげることができる。
これだけの条件・効果が期待できる内容濃厚なミーティングは、普段はなかなか期待できないのではないでしょうか?きっとこれ以外にも特有の「いい効果」があるはずです。
まぁ肥満対策や内臓脂肪減少効果もあきらかに期待できると思いますが、今回は「ミーティング」の話しなので、これについてはまた別の機会にゆずります。
きっと楽しいミーティングになると思います。じょうずに取り入れてみてはいかがでしょう?
今日も最後までお読みいただきありがとうございました(^_-)-☆。